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首都東京のリーダーを選ぶ都知事選が6月20日に告示された。
「政治とカネ」をめぐり混迷する国政と絡めて論じられることもあるが、東京には解決すべき課題が幾つもある。それを忘れてはならない。
各候補者には都政の諸課題と向き合う真摯(しんし)な政策論争を望みたい。有権者は、それぞれの政策と実現可能性を冷静に見極めてほしい。
東京は1400万人以上の人口を抱え、都内総生産(GDP)は113兆7千億円(令和3年度名目)で日本のGDPの2割を占める。その行政のトップを決める選挙で争点となるべきは、都民の命と暮らしを守る方策だ。
一つは防災対策である。甚大な被害が予想される首都直下地震や、富士山噴火への備えを万全にしなければならない。
有事に備える対策も重要な時代となった。特に地下シェルター(避難施設、防空壕)の整備を急ぐ必要があろう。ロシアのウクライナ侵略をみれば、それが大切なのは明らかである。
少子化対策も待ったなしだ。5年の人口動態調査で、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率が東京は0・99と1を下回った。現職の小池百合子氏は2期8年にわたって子育て支援などに取り組んできたが、その評価が問われる。
18日には3選を目指す小池氏と、立憲民主党を離党した参院議員の蓮舫氏が公約を発表した。19日には両氏のほか、元航空幕僚長の田母神俊雄氏と前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が参加し、日本記者クラブ主催で立候補予定者による討論会が開かれる。
有権者が各候補者の政策に、十分に耳を傾けられる環境づくりも大切だ。
今回の都知事選には、過去最多となる50人以上が出馬の意向を表明している。中でも政治団体「NHKから国民を守る党」は24人の候補者を擁立し、選挙の掲示板とNHKの政見放送を「ジャック」するのが目的だと明らかにした。そうした行為は妥当なのか。
4月の衆院東京15区補欠選挙では政治団体「つばさの党」の候補者らが他陣営を妨害し、選挙後に公職選挙法違反容疑で逮捕された。都知事選で同様の行為があれば、選挙中でも摘発すべきである。
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2024年6月19日付産経新聞【主張】を一部情報を更新して転載しています